ロスト・イン・トランスレーション
人生に「迷子」の元映画スター。
夫婦生活に寂しさを感じている若妻。
異国で出会った二人の、
重なり合う孤独。
普段は自覚しない人生の空しさを、
東京という都市の空虚な喧噪が、
くっきりと際立たせる。
確かに、日本人のボクでも、
東京の夜に、たった一人で、
人波が行き交うスクランブル交差点に立たされたとしたら、
けばけばしい光線を発するネオン看板に、
言い知れぬ寂しさと疎外感を感じるに違いない。
監督はフランシス・F・コッポラの娘、ソフィア・コッポラ。
この映画で彼女はアカデミーの脚本賞を得た。
外国人の目に映る我が国の首都はかなりヘンなのだろう。
言葉や習慣のギャップに戸惑うビル・マーレーの、
困った顔が、クスクスと笑いを誘う。
ビルがゲストで出演した番組で、
司会のマシューはサムライ級のダンスを見せた。
劇中、音楽はほとんど気にならなかったが、
エンディングはなんと、はっぴいえんどの「風をあつめて」。
最近、これが自分の中でヘビーローテーションだったので、
タイミングの良さが、うれしかった。
この曲を採用したところに、センスを感じた。
サントラも面白そう。
ヨメさんも好みだと言っていた。
気怠い午後に、ソファーに寝転がって、
音量控えめでCDかけっぱなし、
ってのが気持ちよさそうなアルバムだ。